第3節 草地利用権(第75条の2―第75条の10)/農地法


(昭和二十七年七月十五日法律第229号)

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最終改正:平成一四年一二月四日法律第130号


    第3節 草地利用権

(草地利用権の設定に関する承認)
第75条の2  市町村又は農業協同組合は、その住民又は組合員で養畜の事業を行なうものの共同利用に供するため、家畜の飼料とするための牧草の栽培(その栽培に係る土地について行なう家畜の放牧及びこれと一体的に行なう必要があるその土地に隣接する土地についての家畜の放牧を含み、その栽培の目的に供されることに伴う土地の形質の変更がその土地を原状に復することを困難にしない程度であるものに限る。)を目的とする土地についての賃借権(以下「草地利用権」という。)を取得する必要があるときは、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて、土地の所有者及びその土地に関し権利を有するその他の者(その土地の定着物の所有者及びその定着物に関し権利を有するその他の者を含む。以下「土地所有者等」という。)に対し、草地利用権の設定及びその行使の妨げとなる権利又は定着物がある場合にはその権利の行使の制限若しくは消滅又はその定着物の収去に関する協議を求めることができる。
 都道府県知事は、前項の承認の申請があつたときは、農林水産省令で定めるところにより、その申請に係る土地の傾斜、土性等の自然的条件、利用の状況その他の必要な事項を調査しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果、その調査に係る土地が次の各号に掲げる要件のすべてをみたしている場合に限り、第1項の承認をすることができる。
 その土地が、自作農の創設の目的に供されるとするならば、第44条第1項第1号に掲げる土地として同条の規定による買収をすることができると認められるものであること。
 その土地について草地利用権の設定を受けようとする者の利用計画に従つて共同利用に供することが、その地域における農業経営の状況等からみて養畜の事業を行なう者の経営の改善を図るため必要かつ適当であつて、他の土地をもつて代えることが困難であると認められること。
 都道府県知事は、第1項の承認をしようとするときは、あらかじめ、その申請に係る協議の相手方及び都道府県農業会議並びに農林水産省令で定めるその他の者の意見を聴かなければならない。
 都道府県知事は、第1項の承認をしたときは、遅滞なく、その旨をその承認の申請に係る協議の相手方に通知するとともに、これを公示しなければならない。

(裁定の申請)
第75条の3  前条第1項の協議がととのわず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、その承認を受けた日から起算して二箇月以内に、農林水産省令で定めるところにより、その協議の相手方である土地所有者等を示して、その草地利用権の設定又はその行使の妨げとなる権利の行使の制限若しくは消滅若しくは定着物の収去に関し都道府県知事に裁定を申請することができる。

(意見書の提出)
第75条の4  都道府県知事は、前条の規定による申請があつたときは、農林水産省令で定める事項を公示するとともに、その申請に係る土地所有者等にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
 前項の意見書を提出する者は、その意見書において、その者の有する権利の種類及び内容その他の農林水産省令で定める事項を明らかにしなければならない。
 都道府県知事は、第1項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。

(裁定)
第75条の5  都道府県知事は、第75条の3の規定による申請に係る土地(その土地の定着物を含む。)の利用の状況並びにその申請に係る土地所有者等のその土地(その土地の定着物を含む。)の利用計画及びその達成の見通し等を考慮してもなおその申請をした者がその土地をその者の利用計画に従つて共同利用に供することが国土資源の利用に関する総合的な見地から必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、草地利用権を設定すべき旨又はその行使の妨げとなる権利の行使を制限し、若しくはその権利を消滅させ、若しくは定着物を収去すべき旨の裁定をするものとする。
 草地利用権を設定すべき旨の前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 草地利用権を設定すべき土地の所在、地番、地目及び面積
 草地利用権の内容
 草地利用権の始期及び存続期間
 借賃
 借賃の支払の方法
 権利の行使を制限すべき旨の第1項の裁定においては第1号及び第4号、権利を消滅させるべき旨の同項の裁定においては第2号及び第4号、定着物を収去すべき旨の同項の裁定においては第3号及び第4号に掲げる事項を定めなければならない。
 行使を制限すべき権利の種類及び内容並びにその制限の内容、始期及び期間
 消滅させるべき権利の種類及び内容並びにその消滅の期日
 収去すべき定着物の種類、数量及び所在の場所並びにその収去を完了すべき期限
 権利の行使の制限若しくは消滅又は定着物の収去によつて生ずる損失の補償金の額及び支払の方法
 第1項の裁定は、第2項第1号から第3号まで及び前項第1号から第3号までの事項については、申請の範囲をこえてはならない。

第75条の6  都道府県知事は、前条第1項の裁定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨をその裁定を申請した者及びその申請に係る土地所有者等に通知するとともに、これを公示しなければならない。その裁定についての審査請求に対する裁決によつて裁定の内容が変更されたときもまた同様とする。
 前条第1項の裁定について前項の公示があつたときは、その裁定の定めるところにより、その裁定を申請した者とその申請に係る土地所有者等との間に協議がととのつたものとみなす。

(存続期間の更新等)
第75条の7  第75条の2第1項又はこの項の承認を受けてする協議がととのつたこと(前条第2項(次項で準用する場合を含む。)の規定により協議がととのつたものとみなされる場合を含む。)により設定された草地利用権(その存続期間が更新されたものにあつては、その更新が、この項の承認を受けてする協議がととのつたこと(次項で準用する前条第2項の規定により協議がととのつたものとみなされる場合を含む。)によつてされたものに限る。)を有する者は、その草地利用権に係る土地についてその存続期間の満了後引き続き草地利用権による利用をする必要があるときは、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて、その草地利用権に係る土地の土地所有者等に対し、その草地利用権の存続期間の更新又はこれに代えてする新たな草地利用権の設定及びその行使の妨げとなる権利がある場合にはその権利の行使の制限又は消滅に関する協議を求めることができる。ただし、その更新又は設定による草地利用権の存続期間の満了する日が、その土地につき第75条の2第1項の承認を受けてする協議がととのつたこと(前条第2項の規定により協議がととのつたものとみなされる場合を含む。)により設定された草地利用権の存続期間の始期から二十年以内にない場合は、この限りでない。
 第75条の2第2項から第5項まで及び第75条の3から前条までの規定は、前項の承認の申請があつた場合に準用する。この場合において、第75条の2第2項中「傾斜、土性等の自然的条件、利用の状況」とあるのは「利用の状況」と、同条第3項中「次の各号に掲げる要件のすべて」とあるのは「第2号に掲げる要件」と、第75条の5第1項中「申請に係る土地(その土地の定着物を含む。)の利用の状況並びにその申請に係る」とあるのは「申請に係る」と読み替えるものとする。

(買い取るべき旨の裁定)
第75条の8  第75条の2第1項又は前条第1項の承認を受けてする協議がととのつたこと(第75条の6第2項(前条第2項で準用する場合を含む。)の規定により協議がととのつたものとみなされる場合を含む。以下この節で同様とする。)により設定された草地利用権(その存続期間が更新されたものにあつては、その更新が、前条第1項の承認を受けてする協議がととのつたこと(同条第2項で準用する第75条の6第2項の規定により協議がととのつたものとみなされる場合を含む。)によつてされたものに限る。以下この節で同様とする。)の存続期間が三年以上にわたるときは、その草地利用権に係る土地所有者等は、都道府県知事に対し、農林水産省令で定めるところにより、その草地利用権を有する者がその草地利用権に係る土地又はその行使が制限された権利を買い取るべき旨の裁定を申請することができる。
 定着物を収去すべき旨の第75条の5第1項の裁定を受けたその定着物の所有者は、その定着物を収去するとすればその定着物を従来用いた目的に供することが著しく困難となるときは、都道府県知事に対し、農林水産省令で定めるところにより、その定着物のある土地につき草地利用権を有する者がその定着物を買い取るべき旨の裁定を申請することができる。
 買い取るべき旨の前2項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 買い取るべき土地についてはその所在、地番、地目及び面積、定着物についてはその種類、数量及び所在の場所、権利についてはその種類及び内容
 買い取るべき土地若しくは定着物の所有権又は権利の移転の期日
 対価
 対価の支払の方法
 第75条の5第4項及び第75条の6の規定は、都道府県知事が第1項又は第2項の規定による申請に基づき買い取るべき旨の裁定をする場合に準用する。この場合において、第75条の5第4項中「第2項第1号から第3号まで及び前項第1号から第3号まで」とあるのは「第75条の8第3項第1号及び第2号」と、第75条の6中「土地所有者等」とあるのは「土地又は定着物若しくは権利のある土地につき草地利用権を有する者」と読み替えるものとする。

(草地利用権に係る賃貸借の解除)
第75条の9  第75条の2第1項又は第75条の7第1項の承認を受けてする協議がととのつたことにより設定された草地利用権を有する者が正当な事由がなく引き続き二年以上その草地利用権に係る土地の全部又は一部をその目的に供しなかつたときは、その草地利用権を設定した者は、その目的に供されていない土地につき、都道府県知事の承認を受けて、その草地利用権に係る賃貸借の解除をすることができる。

(草地利用権の譲渡等の禁止)
第75条の10  第75条の2第1項又は第75条の7第1項の承認を受けてする協議がととのつたことにより設定された草地利用権を有する者は、その草地利用権を譲渡し、又はその草地利用権に係る土地を貸し付けることができない。

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