第3節 利用関係の調整(第18条―第32条)/農地法


(昭和二十七年七月十五日法律第229号)

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最終改正:平成一四年一二月四日法律第130号


    第3節 利用関係の調整

(農地又は採草放牧地の賃貸借の対抗力)
第18条  農地又は採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡があつたときは、これをもつてその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。
 民法第566条第1項及び第3項(用益的権利による制限がある場合の売主の担保責任)の規定は、登記をしてない賃貸借の目的である農地又は採草放牧地が売買の目的物である場合に準用する。
 民法第533条(同時履行の抗弁権)の規定は、前項の場合に準用する。

(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)
第19条  農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の一年前から六月前まで(賃貸人又はその世帯員の死亡又は第2条第6項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため、一時賃貸をしたことが明らかな場合は、その期間の満了の六月前から一月前まで)の間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。ただし、水田裏作を目的とする賃貸借でその期間が一年未満であるもの、第75条の2から第75条の7までの規定によつて設定された草地利用権(その存続期間が更新されたものにあつては、その更新が第75条の7第1項の規定又は同条第2項で準用する第75条の2第2項から第5項まで及び第75条の3から第75条の6までの規定によつてされたものに限る。次条第1項第4号で同様とする。)に係る賃貸借、農業振興地域の整備に関する法律第15条の7から第15条の11までの規定によつて設定された同法第15条の7第1項に規定する特定利用権に係る賃貸借及び農業経営基盤強化促進法第19条の規定による公告があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて設定され、又は移転された同法第4条第3項第1号に規定する利用権に係る賃貸借については、この限りでない。

(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)
第20条  農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が、信託事業に係る信託財産につき行なわれる場合(その賃貸借がその信託財産に係る信託の引受け前から既に存していたものである場合及び解約の申入れ又は合意による解約にあつてはこれらの行為によつて賃貸借の終了する日、賃貸借の更新をしない旨の通知にあつてはその賃貸借の期間の満了する日がその信託に係る信託行為によりその信託が終了することとなる日前一年以内にない場合を除く。)
 合意による解約が、その解約によつて農地若しくは採草放牧地を引き渡すこととなる期限前六箇月以内に成立した合意でその旨が書面において明らかであるものに基づいて行なわれる場合又は民事調停法による農事調停によつて行なわれる場合
 賃貸借の更新をしない旨の通知が、十年以上の期間の定めがある賃貸借(解約をする権利を留保しているもの及び期間の満了前にその期間を変更したものでその変更をした時以後の期間が十年未満であるものを除く。)又は水田裏作を目的とする賃貸借につき行なわれる場合
 第75条の2から第75条の7までの規定によつて設定された草地利用権に係る賃貸借の解除が、第75条の9の規定により都道府県知事の承認を受けて行なわれる場合
 農業振興地域の整備に関する法律第15条の7から第15条の11までの規定によつて設定された同法第15条の7第1項に規定する特定利用権に係る賃貸借の解除が、同法第15条の13の規定により都道府県知事の承認を受けて行われる場合
 前項の許可は、次に掲げる場合でなければしてはならない。
 賃借人が信義に反した行為をした場合
 その農地又は採草放牧地を農地又は採草放牧地以外のものにすることを相当とする場合
 賃借人の生計(法人にあつては、経営)、賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地又は採草放牧地を耕作又は養畜の事業に供することを相当とする場合
 賃借人である農業生産法人が農業生産法人でなくなつた場合並びに賃借人である農業生産法人の構成員となつている賃貸人がその法人の構成員でなくなり、その賃貸人又はその世帯員がその許可を受けた後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地のすべてを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行なうことができると認められ、かつ、その事業に必要な農作業に常時従事すると認められる場合
 その他正当の事由がある場合
 都道府県知事が、第1項の規定により許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聞かなければならない。
 第1項の許可は、条件をつけてすることができる。
 第1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
 農地又は採草放牧地の賃貸借につき解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が第1項ただし書の規定により同項の許可を要しないで行なわれた場合には、これらの行為をした者は、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会にその旨を通知しなければならない。
 前条又は民法第617条(解約の申入れ)若しくは第618条(解約権の留保)の規定と異なる小作条件でこれらの規定による場合に比して賃借人に不利なものは、定めないものとみなす。
 農地又は採草放牧地の賃貸借につけた解除条件又は不確定期限は、つけないものとみなす。

(小作料の増額又は減額の請求権)
第21条  小作料の額が農産物の価格若しくは生産費の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により又は近傍類似の農地の小作料の額に比較して不相当となつたときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かつて小作料の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間小作料の額を増加しない旨の特約があるときは、その定めに従う。
 小作料の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の小作料を支払うことをもつて足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払つた額に不足があるときは、その不足額に年十パーセントの割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
 小作料の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の小作料の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた小作料の額を超えるときは、その超過額に年十パーセントの割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

第22条  小作料の額が、不可抗力により、田にあつては、収穫された米の価額の二割五分、畑にあつては、収穫された主作物の価額の一割五分を超えることとなつたときは、小作農は、その農地の所有者又は賃貸人に対し、その割合に相当する額になるまで小作料の減額を請求することができる。

(小作料の標準額)
第23条  農業委員会は、その区域内の農地につき、その自然的条件及び利用上の条件を勘案して必要な区分をし、その区分ごとに小作料の額の標準となるべき額(以下「小作料の標準額」という。)を定めることができる。
 農業委員会は、小作料の標準額を定めるに当たつては、前項の区分ごとにその区分に属する農地につき通常の農業経営が行われたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌し、耕作者の経営の安定を図ることを旨としなければならない。
 農業委員会は、小作料の標準額を定めたときは、これを公示するとともに都道府県知事に通知しなければならない。

(小作料の減額の勧告)
第24条  農業委員会は、小作料の標準額を定めた場合において、契約で定める小作料の額がその小作料に係る農地の属する前条第1項の区分に係る小作料の標準額に比較して著しく高額であると認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、当事者に対し、その小作料を減額すべき旨を勧告することができる。

(契約の文書化及び通知)
第25条  農地又は採草放牧地の賃貸借契約については、当事者は、書面によりその存続期間、小作料の額及び支払条件その他その契約並びにこれに附随する契約の内容を明らかにしなければならない。
 農地又は採草放牧地の賃貸借契約の当事者は、その契約を締結したときは、農林水産省令で定めるところにより、その存続期間、小作料の額及び支払条件その他の事項を農業委員会に通知しなければならない。これらの事項を変更したときもまた同様とする。

(利用権設定に関する承認)
第26条  耕作の事業を行う者は、左に掲げる事項を目的とする土地又は立木についての使用収益の権利(以下「利用権」という。)を取得する必要があるときは、農林水産省令で定める手続に従い、農業委員会の承認を受け、土地又は立木の所有者その他これらに関し権利を有する者に対し、利用権の設定に関する協議を求めることができる。
 自家用の薪炭とするための原木の採取
 自家用の燃料とするための枝、落葉等の採取
 自家用の肥料、飼料又は敷料とするための草又は落葉の採取
 耕作の事業に附随して飼育する家畜の放牧
 前項第1号に掲げる事項を目的とする利用権の設定については、農業委員会は、左に掲げる場合に限り、同項の承認をすることができる。
 耕作の事業を行う者が従来慣行又は契約により原木の採取をしていた土地について利用権を設定しようとする場合
 耕作の事業を行う者が従来慣行又は契約により原木の採取をしていた土地についてその採取をすることができなくなつた場合において、これに代るべき土地に利用権を設定しようとする場合
 他の耕作の事業を行う者が慣行又は契約により原木の採取をしている土地について利用権を設定しようとする場合
 農業委員会は、第1項の規定による承認の申請があつたときは、その申請に係る協議の相手方その他農林水産省令で定める者の意見を聞かなければならない。
 農業委員会は、第1項の承認をしたときは、遅滞なく、その旨をその承認に係る協議の相手方に通知するとともに、これを公示しなければならない。
 第1項の規定は、国有林野の管理経営に関する法律(昭和二十六年法律第246号)による国有林野には、適用しない。

(裁定の申請)
第27条  前条第1項の協議がととのわず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、その承認を受けた日から起算して二箇月以内に、農林水産省令で定める手続に従い、その利用権の設定に関し農業委員会に裁定を申請することができる。

(意見書の提出)
第28条  農業委員会は、前条の規定による申請があつたときは、農林水産省令で定める事項を公示するとともに、その申請に係る利用権設定の相手方にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
 農業委員会は、前項の期間経過後二箇月以内に裁定をしなければならない。

(裁定)
第29条  利用権を設定すべき旨の裁定においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
 利用権を設定すべき土地の所在、地番、地目及び面積又は立木の所在、樹種及び数量
 利用権の内容
 利用権の始期及び存続期間
 対価
 対価の支払の方法
 前項の裁定は、同項第1号から第3号までの事項については、申請の範囲をこえてはならない。

第30条  農業委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、農林水産省令で定める手続に従い、その旨をその裁定の申請者及び第28条第1項の通知をした者に通知するとともに、これを公示しなければならない。裁定についての審査請求に対する裁決によつて裁定の内容が変更されたときもまた同様とする。
 利用権を設定すべき旨の裁定について前項の公示があつたときは、その裁定の定めるところにより、当事者間に協議がととのつたものとみなす。
 民法第272条但書(永小作権の譲渡又は賃貸の禁止)及び第612条(賃借権の譲渡又は転貸の禁止)の規定は、前項の場合には、適用しない。

(市町村等の利用権設定)
第31条  第26条から前条までの規定は、市町村、農業協同組合又は農事組合法人が耕作の事業を行う者のために第26条第1項に掲げる事項を目的とする土地又は立木の利用権を取得する必要があると認めた場合に準用する。

(利用権の保護)
第32条  耕作の事業を行う者が第26条第1項に掲げる事項を行うことを目的とする有償の契約については、第18条から第20条まで及び第25条の規定を準用する。

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